医療データ研究開始
2024-10-07 09:19:41

倉敷中央病院とJMDC、電子カルテ利用の共同研究を開始

小児適応外薬の医療研究



倉敷中央病院(岡山県倉敷市)とJMDCグループ(東京)の連携により、小児適応外薬に関する新たな共同研究が始まることが発表されました。この研究は、電子カルテデータベースを利用し、現在日本で小児に適応がないプラケニル(R)の公知申請に資するエビデンスを創出することを目的としています。

研究の背景



近年、国際的に承認された医薬品が日本で承認されるまでの遅れ、いわゆるドラッグラグやドラッグロスが問題視されています。特に、子ども向けの医薬品に関しては、この傾向が顕著です。適応外薬の承認を得るための方法の一つとして公知申請がありますが、そのためには実際に使用されている実績を示す必要があります。

本研究の目的と方法



今回の研究では、倉敷中央病院の電子カルテデータベースを利用して、プラケニル(R)の小児における使用状況や副作用の発症率を調査します。この薬は主に全身性および皮膚エリテマトーデスの治療に用いられており、欧米のガイドラインでは小児の遺伝性間質性肺疾患の治療に推奨される一方で、日本では6歳未満の小児に対しては禁忌となっています。このため、患者の倫理的な観点からも早急な適応承認が求められています。

データの特徴と研究の意義



電子カルテデータベースでは、保険適応の有無にかかわらず、患者が処方された全ての医薬品の情報が記録されています。これにより、従来の医療保険データベースが抱える利用の限界を克服し、より具体的なエビデンスを集めることが可能です。今回の研究は、特に小児における医薬品使用の実態を明らかにするための重要なステップとなります。

医療機関の役割



倉敷中央病院は1923年に設立され、地域に根ざした中核医療機関として高度な医療を提供しています。この新たな共同研究は、JMDCが開始した支援プロジェクト「Big Data For Children」のサービスの一環として取り組まれます。

このプロジェクトは、小児の疾患や治療の実態を理解し、医薬品開発を促進するためにビッグデータを活用することを目的としています。日本国内では子ども向けの医薬品開発が非常に少なく、専門的な研究が後回しになる傾向があるため、このプロジェクトは必要不可欠です。

今後の展望



本研究によって、プラケニル(R)に関する実施データが集約されることで、小児への薬剤承認が進み、より多くの患者に適切な治療が行える未来が期待されています。特に、難治性疾患を抱える小児患者にとっては、医療の選択肢を広げることにつながります。このような試みが、日本の医療制度におけるアプローチ改善の一助となることを期待しています。

会社情報

会社名
公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院、株式会社JMDC、リアルワールドデータ株式会社
住所
電話番号

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