国内初!解体建物の鉄骨・コンクリートを新築構造体にリユース!
大林組株式会社は、建物解体後、通常は溶解・破砕され新たな建材としてリサイクルされる鉄骨やコンクリート製の構造部材を、新築建物の構造体にリユースする国内初の取り組みを開始しました。
この画期的な試みは、同社が東京都清瀬市にある自社技術研究所内の実験棟「オープンラボ3」の新築工事において実施されます。
背景:2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組み
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、建設業界ではCO2排出削減に向けた取り組みが急務となっています。大林組は、「持続可能な社会の実現に貢献する」という企業理念のもと、2050年を見据えたサステナビリティビジョンを策定し、脱炭素社会と循環型経済の実現に向けて積極的に技術開発や施策に取り組んでいます。
建物の構造体を再利用する取り組みは、これまでコンバージョンやリノベーション、耐震改修などにおいて実績があり、CO2排出量削減効果が検証されてきました。しかし、従来の手法は柱や梁の位置や形状を大きく変えられないという設計上の制約がありました。
オープンラボ3新築計画における取り組みと効果
今回のオープンラボ3新築計画では、解体される既存実験棟の柱、梁、ブレースなど、すべての鉄骨部材を撤去し、鉄骨製作会社が新築建物に合わせた切断などの加工を施した後、再び構造体に使用します。
さらに、基礎、基礎梁、小梁、床など、すべてのコンクリート製構造部材についても、新築建物の平面形状に合わせて切断し、加工ヤードで接合部を加工した後、現場で新材と接合することで、新実験棟の構造体としてリユースします。
古くから木造建築では、解体後の木材を再利用する例はありましたが、解体後の鉄骨やコンクリートの部材を、新築建物の構造体としてリユースするのは日本国内では初めての試みです。この手法により、場所やスパンの制約がなくなり、構造部材の有効活用が実現。従来のリサイクル材(再生材)を使用する場合に比べ、部材製造時のCO2排出量を大幅に削減できます。
なお、本計画では建築確認申請と構造適合性判定の審査を受け、建築基準法に適合することを確認しています。
CO2排出量削減効果:新材使用に比べ約49%削減
オープンラボ3では、新築建物の構造部材のうち、鉄骨57%、コンクリート33%で解体建物のリユース材を使用。構造部材製造に伴うCO2排出量は、69.3t-CO2となり、新たにすべての資材を調達した場合に比べて、約49%(65.8t-CO2)の削減を見込んでいます。
今後の展望
大林組は、自社技術研究所であるオープンラボ3での取り組みを通して、研究員が解体建物の構造体の状態や、リユース材の加工状況などを直接検証することで、迅速な技術改善や新たな技術開発につなげていく予定です。
今回の計画で得られた知見を活かし、リユース技術をはじめ、さまざまなサステナブル技術を開発し、提案していくことで、脱炭素社会と循環型経済の実現に貢献していく方針です。