フィリップスの新超音波診断装置「Transcend Plus」シリーズの全貌
株式会社フィリップス・ジャパンは、2025年8月1日に循環器向けの新しい超音波診断装置「EPIQ/Affiniti CVx Transcend Plus」シリーズを発表しました。この診断装置はAI技術の導入と画像品質の向上により、急速に進化する医療現場のニーズを満たすものとなっています。
医療現場における現状とニーズ
過去30年間で、心血管疾患(CVD)による死亡者数は60%増加しており、2021年には世界的な死亡原因の中で最も多くの人命を奪っています。こうした背景から、迅速かつ正確な診断に対する需要が高まっています。さらに、2028年までに約10万人の医療従事者が不足すると予測されており、これが医療現場の効率化の必要性を一層強調しています。このような課題の中、AI技術は解決策の一つとして期待されています。
Transcend Plusシリーズの特長
フィリップスの新しい「Transcend Plus」シリーズは、昨年リリースされたEPIQ/Affiniti Transcendシリーズの進化版であり、以下のような特長があります。
1. 改良された画質
画質向上のために、nSIGHT PlusやXRes、Image Boostといった画像処理技術が改善されました。これにより、経胸壁や経食道心エコー用のトランスジューサの画質が向上し、より信頼性の高い診断が可能になります。また、新たに導入された細径3D経食道トランスジューサX11-4tは、2Dや3D画像だけでなく3DからのMPR断面の画質も向上させ、小児に対する臨床診断の精度向上にも寄与しています。
2. 効率的な検査
AIによるディープ・ラーニング技術を活用したR-Trigger技術が搭載されており、心拍とR波を自動で検出・統合します。これにより、心電図がない状態でも計測や解析が可能となり、Auto MeasureやAutoStrain LV、2D Auto EFといった機能との互換性が強化されました。これにより、一般的な検査の効率が大幅に向上しています。
3. 新機能「3D Marker」
心エコー図の重要性が高まるSHD領域では、迅速かつ正確な判断が求められます。Transcend Plusには「3D Marker」機能が搭載されており、3DやMPR断面にマーカーを配置でき、複雑な解剖学的構造の理解を助けます。医療従事者が迅速な判断を行う上で非常に有用です。
フィリップス・ジャパンの取り組み
フィリップス・ジャパンは1953年に設立され、医療機器を中心に多様なヘルスケア技術を提供してきました。超音波診断装置の改良を通じて、超高齢化社会に対応した医療課題を解決に導くことを目指しています。現在、日本国内には約2,000人の従業員が在籍し、約70拠点でビジネスを展開しています。
このように、新たな「Transcend Plus」シリーズはAI技術を駆使し、医療業界の効率化と画質向上に貢献します。フィリップスの取り組みは、今後の医療の未来において重要な役割を果たしていくことでしょう。