新HPLCカラム登場
2022-06-21 11:01:29

長鎖核酸の分離を可能にする新HPLCカラムの登場

長鎖核酸の分離を可能にする新HPLCカラム



現在、分子生物学の研究分野において、長鎖の核酸分析が求められています。しかし、これまでの逆相クロマトグラフィーでは、20塩基程度の短鎖核酸に関する分析の事例は多く存在するものの、100塩基を超える長鎖核酸においては、その分析方法が確立されているとは言えませんでした。特に、細孔を持たないノンポーラスポリマー充填剤の使用や、300Åといったワイドポア型の細孔を持つシリカ系・ポリマー系充填剤が有効であるとの報告もわずかで、長鎖核酸分析の道は険しいものでした。

このような状況の中、ナカライテスクは新たな試みとして、HPLC(高効率液体クロマトグラフィー)を用いて長鎖核酸の分離を行うことに挑戦しました。研究チームは、逆相モードとサイズ排除モードの2つのHPLCカラムにおいて、分析条件の最適化を進めました。この際、標準的なDNAやRNA分子量マーカーなど、既知の長さの核酸断片を用いて試験が行われました。

検討の結果、長鎖核酸の分離において最も重要な要素は充填剤の細孔径であることが明らかになりました。これを基に、ナカライテスクは「RNA-RP1(細孔径非開示)」、およびサイズ排除モードを採用した「RNA-SEC-1000(細孔径1000Å)」、さらに「RNA-SEC-2000(細孔径2000Å)」という新たなカラムの開発と販売を開始しました。

以下は、これら新カラムを用いて行った500-9000 baseのssRNA分析の結果です。逆相モード「RNA-RP1」を使用した場合、大きな分子量のRNAほど保持された時間が長く、溶出時間が遅延しました。一方、サイズ排除モードの「RNA-SEC-1000」や「RNA-SEC-2000」では、逆相モードとは異なり、大きな分子量ほど早く溶出し、また、充填剤の大きな細孔径を持つほど、大きなRNAの分離性能が向上する事実が証明されました。

この革新的なカラムの開発により、長鎖核酸分析の可能性が一層広がることが期待されています。今後、ナカライテスクではさらなる分析事例を積み重ねていく意向を示しており、長鎖核酸の研究がますます進展することが期待されます。製品詳細については、こちらのリンクからご覧ください。

COSMOSILとナカライテスクの紹介


COSMOSIL(コスモシール)はナカライテスクが手掛けるHPLC用パックドカラムのブランドであり、幅広い固定相カラムをラインナップしています。特に、C18カラムに代表される逆相クロマトグラフィー用カラムは汎用性が高く、多くの研究者に利用されています。ナカライテスクは1846年に創業し、現在ではリサーチケミカルやファインケミカルの提供を通じて科学の未来を支える製品と技術を展開しています。更に、オンラインカタログのe-Nacalai Search Versionを通じて、医療から材料工学まで多様な研究者をサポートしています。

会社情報

会社名
ナカライテスク株式会社
住所
京都市中京区二条通烏丸西入東玉屋町498番地
電話番号
075-211-2516

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