結晶構造予測の進化
2025-10-22 14:07:19

機械学習を活用した結晶構造予測の精度向上と材料開発の促進

機械学習で結晶構造の予測精度を向上



近年、材料開発において結晶構造の正確な予測が重要視されていますが、従来の手法はその膨大な計算コストが課題とされてきました。そんな中、早稲田大学の谷口准教授と大学院生の深澤さんらの研究グループが、機械学習を用いた新手法「SPaDe-CSP」を開発し、結晶構造予測の成功率を従来の2倍に引き上げたと発表しました。

SPaDe-CSPの基本的な仕組み


SPaDe-CSPは、有機分子の結晶構造予測において探索空間を効率的に絞り込み、成功率を高める手法です。初期段階で機械学習を活用し、有望な空間群と結晶密度の候補を選定。その後、高速かつ高精度なニューラルネットワークポテンシャルを使用して、結晶構造の最適化計算を行います。この過程によって、計算コストを大幅に削減し、探索効率をアップさせました。

成果とその意義


この手法を用いた実験では、実に80%の高成功率で有機分子の結晶構造を予測することに成功しました。これは従来のランダム探索手法と比較して、極めて大きな向上です。この成果により、今後の医薬品開発や有機半導体など機能性材料の設計へ大きな貢献が期待されています。
医薬品の形成や溶解性、電気伝導性に影響を与える結晶構造の制御が容易になることで、材料開発がよりスムーズに進行する可能性が高まります。

新しいアプローチに対する期待


結晶構造予測は医薬品や有機エレクトロニクスなどの分野で鍵となる技術であり、SPaDe-CSPの開発によって新しい有機材料や薬の発見が加速されることが期待されます。この技術は、複雑な分子においても適用できる可能性があります。

次なる課題


一方、分子の柔軟性や温度効果を踏まえる必要があります。今回の研究では、分子が堅いという前提のもとで進められましたが、今後は柔軟な分子に対応したワークフローの改善も求められます。温度による安定性の評価を行うことも、実用化に向けた重要な一歩です。

このような取り組みは、結晶構造予測の新たな展開を示唆しており、未来の医薬品と材料の開発へ向けた希望を抱かせます。


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