株式会社Lead accelの設立
東京科学大学の准教授である近藤正聡氏が設立した、株式会社Lead accelが新たに誕生しました。本社は東京都港区に位置し、同大学から“東京科学大学認定ベンチャー(第20号)”の称号を受けています。この企業は、大学の研究成果を活かしたベンチャーとして、持続可能なエネルギー技術の開発を目指しています。
加速器駆動型未臨界炉の可能性
Lead accelが取り組むのは、加速器駆動型未臨界炉(ADS)という革新的な技術です。世界中で運用される原子炉からは高レベル放射性廃棄物が排出され、その処理は数万年にわたり、長期的な管理を必要とします。しかし、ADSを用いることで、廃棄物中に含まれるマイナーアクチニドを効率的に消滅させ、大幅な負担軽減が期待されています。
このシステムでは、陽子加速器と液体重金属ターゲットが一体となり、核分裂連鎖反応を未臨界状態で実施します。この過程で核変換が進み、高濃度のマイナーアクチニウムを処理することが可能になるのです。
東京科学大学の研究と技術の活用
東京科学大学では、液体重金属ターゲット技術に関する研究が20年以上行われており、その成果を踏まえてLead accelが設立されました。過去の課題であった材料の腐食に対し、適切な酸素量を調整することで、材料の保護技術が確立されています。この技術を基に、会社は早期の社会実装を図っているのです。
資金調達と今後の展開
近藤社長は、起業前よりベンチャーキャピタル ANRIの鮫島昌弘氏と共に事業準備を進め、その結果としてGAPファンドプログラムに採択されました。ANRI-GREEN1号からの資金調達により、ADSの実現に向けた開発を加速する予定です。
投資家からは、「日本の加速器駆動型未臨界炉に関する取り組みが着実に前進していることに大変嬉しく思います。環境問題への対応として、活動を支援していきたい」との声が上がっています。このように、Lead accelはカーボンニュートラル社会に向けた重要な一歩を踏み出しました。
会社概要
株式会社Lead accelの本社は、東京都港区芝浦三丁目にあり、東京科学大学キャンパス内に位置しています。代表取締役の近藤正聡氏が主導するこの企業は、加速器駆動型未臨界炉の研究開発、運営、放射性核種の核変換処理など広範な事業を展開しています。
今後、Lead accelは環境への配慮を重視した技術開発を進めることで、持続可能な未来に向けた重要な役割を果たしていくことでしょう。企業活動とともに、その成果が社会に反映されることが期待されます。