島津製作所の新感性計測システム「HuME」が登場
島津製作所が手掛けた新しいマルチデバイス感性計測システム、通称「HuME(ヒューム)」が注目を集めています。この革新的なプラットフォームは、心拍や心電、筋電位、脳波、視線、発汗など、さまざまな生理データを同時に計測し、そのデータを分析することで製品やサービスの感性価値を引き出します。10月からは、協業に向けて、外部の研究機関や企業に向けた試用版の提供を開始します。
このシステムの魅力は、人間の心理状態を多角的に捉える点にあります。日常生活や行動の中で、無意識のうちに感情が表れることは多いですが、これらを客観的に分析することで、潜在的な価値を見出し、画期的な製品やサービスへの進化が期待されます。たとえば、消費者が気づいていないニーズを発掘することで、企業の開発プロセスを根本から変革する可能性があります。
とはいえ、従来の感性計測では、様々な機器が相互に連携する際に時間や手間がかかることが大きな課題でした。「HuME」では、これらのデータを一元的に解析できるため、計測機器間の統合がスムーズに行えるのが大きな特長です。画像データ(表情、瞳孔径、作業姿勢等)と生理信号(脳波、心拍、発汗等)を統合して、高度な解析を実現します。また、このシステムは、利用目的に応じて計測装置を自由に組み合わせられる柔軟性も持っています。
「HuME」の試用版には、ウェアラブル型の感情推定デバイスと心電デバイスが標準装備されています。別途、市販の脳波計などとの連携も可能です。これにより、さらに多様なデータを収集し、包括的な感性分析が遂行できます。
共同研究による革新的な技術
「HuME」を支える技術は、島津製作所と公益財団法人関西文化学術研究都市推進機構、国立大学法人京都大学、プロキダイとの共同研究の成果です。このプロジェクトは、科学技術振興機構(JST)の支援を受けた「けいはんなリサーチコンプレックス」事業の一環で行われました。京都大学の佐藤弥准教授らの研究により、表情から感情を推定し、ラッセルの感情円環モデルを基にした表現技術が実現しました。この技術では、表情筋を動かす電気信号(筋電位)と生理活性のデータをもとに、快/不快や活性/不活性を定量化します。また、共同研究により、被験者の反応をより精密に観察することも可能となりました。
未来の製品開発に向けた可能性
この「HuME」の登場によって、感性計測の分野に革新がもたらされると期待されています。製品開発やサービス改善のプロセスが大きく変わる可能性があり、特に製品のユーザー体験を向上させる手助けとなるでしょう。たとえば、ユーザーが何を求めているかをより深く理解することができ、その情報を基にした新しい製品の開発へとつなげられます。また、この技術が多くの企業や研究機関に活用され、新たなパートナーシップを築くことが可能となるでしょう。
さらなる情報を得たい方や体験してみたい方は、
こちらのリンクから詳細をご覧ください。