石破総理が第34回新しい資本主義実現会議を開催し政策を議論
新しい資本主義実現会議の概要
令和7年5月14日、石破総理は東京都にある総理大臣官邸で第34回新しい資本主義実現会議を開催しました。この会議は、日本経済の更なる成長と安定を目指す重要な施策の議論を行う場です。今回は、特に中小企業や地域経済に焦点を当てた内容となっています。
討議のポイント
今回の会議では、「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」という新たな施策パッケージ案が中心に置かれました。この計画の目的は、日本の中小企業や小規模事業者が安定した成長を遂げられるよう、賃金を改善し、経営の支援を行うことです。石破総理は、賃上げを成長戦略の要と位置づけ、実質賃金の1%の上昇を新たな社会通念として定着させる意向を示しました。
中小企業への支援策
具体的な施策として、まず中小企業・小規模事業者の生産性向上を目指すとのこと。政府は、今後5年間で60兆円の投資を新たな目標とし、必要な体制を構築するとしています。また、介護分野においてはAIを用いたケアプランの自動作成等、省力化投資を進めることが提案されています。
次に、企業間の適正な取引の推進が挙げられています。これは、自治体に対して新たな支援を行うための重点支援地方交付金の活用促進や、下請法の名称変更を通じて進められます。これにより、中小企業の取引環境が改善されることが期待されています。
経営基盤の強化
また、事業承継やM&A(買収・合併)の支援も重要な議題です。石破総理は、事業承継支援センターの強化や新たな資格制度の導入が必要であると強調しました。これにより、中小企業の経営基盤をしっかりと築いていく方向性が示されました。
地域人材の育成
議論では、地域に根ざした人材の育成や処遇改善も取り上げられました。教育やリスキリング施策を通じて、特に医療や介護、保育、福祉に携わる人々の賃金と職場環境の改善が求められています。教育分野への重点的な投資が必要であり、専門的なスキルを持った人材を育成することで地域の経済を支える基盤を整えていくとしています。
賃金引上げの方向性
最低賃金についても、今月下旬に政労使の意見交換を開催し、引き上げの方針について議論を進めるとのことです。賃上げを実現するためには、企業の経営安定や職場環境の整備に向けた取り組みが欠かせないため、石破総理はこれを念頭に置いて施策を実行すると述べました。
地方経済の高度化
観光業や農林水産業など地方経済の高度化に関しても意見が交わされました。政府は、地方の特性を生かしながら、新しい制度を模索する必要性を強調しています。このような地に足のついた政策が、地方に新しいチャンスを生むことを期待しています。
今後の展望
最後に、石破総理は施策の具体化に向け、各大臣が今後の計画を策定するよう指示しました。6月にはさらに具体的な実行計画の取りまとめを行い、日本経済の一層の発展につなげる考えです。
この会議は、日本の資本主義の新たな形を模索するための重要な入口といえるでしょう。中小企業を中心とした賃金向上や経済の発展が、今後の日本全体にどのような影響を及ぼすのか、注視していく必要があります。