産業の垣根を越えた新しいイノベーション共創の始まり
近年、技術革新の進展や経済の変化により、企業は単独の戦略では競争力を維持することが難しくなっています。特に、日本ではデジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れが深刻な問題となっており、その影響で年間約12兆円の経済損失が予測されています。こうした状況を背景に、株式会社Relic、株式会社インダストリー・ワン、株式会社博報堂の三社は、産業横断型のイノベーション共創コンソーシアムを発足させました。
コンソーシアム設立の背景
このコンソーシアムは、Relicが開発した「オープンイノベーションデット」と呼ばれる新たな手法を用いることで、異業種間の協力を強化し、産業の枠を超えたイノベーションを生み出すことを目的としています。従来型の業界単体の成長戦略では限界がある中、企業間の協業は新たな事業機会を見出すための鍵となります。
日本政府は150兆円規模の民間資本導入を目指し、様々な業界で共同の取り組みが進められています。また、調査データでは、海外企業との連携が新たなビジネスモデルの創出につながる事例も報告されており、日本国内の企業にとってもこの流れに乗ることが急務となっています。
コンソーシアムの目的と目指す未来
コンソーシアムの目的は、分野を超えたイノベーションの創出を担うハブ機能を構築し、新規事業の開発を進めることです。各企業の持つ資源や技術を活かして変革を促進し、異業種間の協力を加速させることが狙いです。Relicは、コンソーシアムの運営を主導し、参加企業との協力関係を強化する役割を果たします。その一方で、今後新たに参加する企業に対しては、必ずしも同様の機能を求めず、それぞれが持つ独自の強みを活かした形での関与を可能とします。
主な活動内容
コンソーシアムが進める活動内容には、次のようなポイントがあります。まず、社会課題や市場ニーズの発見に基づく新たな事業機会の探索が挙げられます。Relicのイノベーションデータベースと参加企業のアセットを組み合わせることで、新規事業創出に繋げるための重要な社会的ニーズを特定します。
具体的には、産業や領域を超えた企業間の提携や出資、そしてM&Aを通じてスタートアップとのネットワークを構築します。またAIやディープテックを中心とした共同研究開発を行い、国際的に競争力のある技術を育成します。これにより、参加企業の事業開発やDXを支援し、企業間の協業を促進して新たな創造につなげていくのです。
参画企業の役割
三社それぞれの役割についても重要です。Relicは、4000社以上の実績を持つ新規事業開発の専門企業として、コンソーシアムに参加する企業の技術やアセットを事業化するプロセスをデザインします。一方、インダストリー・ワンは、デジタル実装力を基にプロジェクトを推進し、博報堂は独自のマーケティング力で新規事業の市場適応を目指します。これらの協力を通じて、各企業の強みを持ち寄り、新たな産業の創出に繋げることを目指します。
今後の展望
今後、コンソーシアムはまず三社での具体的なプロジェクトを進行させながら、さらに多くの企業を巻き込む方向で活動を拡大していく予定です。日本全体のイノベーションエコシステムを強化するために、企業の枠を超えた連携による新たなビジネスの創出が期待されています。
このように、産業を超えた共創が新たなイノベーションを生む時代に突入しています。コンソーシアムの活動が成功すれば、企業はもちろん、社会全体にプラスの影響を及ぼすことが見込まれており、今後の展開から目が離せません。