トマト葉かび病菌の脅威
2024-07-19 12:08:19

摂南大学研究:トマト葉かび病菌が植物免疫システムを回避するメカニズム解明!世界のトマト栽培安定化に期待

トマト葉かび病菌が植物の免疫システムを回避するメカニズムを解明!世界のトマト栽培安定化に期待



摂南大学、ニュージーランドMassey大学、オランダWageningen大学の研究グループは、世界中のトマト栽培で大きな問題となっているトマト葉かび病において、病原菌が自ら複数の遺伝子を変異させることで、トマトの持つ免疫システムを巧みに回避するシステムが存在することを発見しました。

トマト葉かび病は、トマトのビニールハウスやガラス温室などの施設内栽培で特に発生しやすく、世界中で深刻な被害をもたらしています。これまで、抵抗性遺伝子Cf-9BとCf-9Cが導入されたトマト品種が世界中で利用されてきましたが、近年、これらの品種でも葉かび病が発生するケースが増加しています。

今回の研究では、トマト葉かび病菌のゲノム情報を詳細に解析することで、病原菌がトマトの免疫システムを無効化する遺伝子「Avr9B/Avr9C」を特定しました。さらに、病原菌は自身のAvr9B/Avr9C遺伝子を連続的に変異させることで、植物の免疫システムを回避していることが明らかになりました。

この発見は、世界各地で同じ変異メカニズムが同時期に生じていたことを示しており、Cf-9B/Cf-9C抵抗性を持つ商業トマトにおいて、本病害に対する防除効果が限定的であることを意味します。

近年、ヒトの病気に対しても抗生物質の効かない耐性菌の出現が問題となっていますが、農業においても、化学農薬の効かない耐性菌の発生が深刻化しています。化学農薬の開発には莫大な費用と長い時間がかかるため、新たな耐性菌の出現に対して迅速に対応することが困難です。

本研究成果は、トマト葉かび病菌の防除戦略を根本的に見直す必要があることを示唆しており、今後、より安定的な免疫システムを持つトマト品種の開発や、新たな防除方法の開発に貢献することが期待されます。

研究成果が掲載された論文



論文名:Sequential breakdown of the Cf-9leaf mould resistance locus in tomato by Fulvia fulva(トマト葉かび病菌Fulvia fulvaによるトマトのCf-9抵抗性遺伝子座の連続的な崩壊)

著者名:de la Rosa S., Schol C.R., Ramos Peregrina Á., Winter D.J., Hilgers A.M., Maeda K., Iida Y., Tarallo M., Jia R., Beenen H.G., Rocafort M., de Wit P.J.G.M., Bowen J.K., Bradshaw R.E., Joosten M.H.A.J., Bai Y., Mesarich C.H.

掲載誌:New Phytologist

DOI:10.1111/nph.19925


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