前立腺がんの新診断法
2024-10-23 12:45:11

Craifと慶應義塾大学医学部、前立腺がんに関する新診断法を発表

Craifと慶應義塾大学医学部の共同研究



Craif株式会社は、東京の文京区を拠点に置くバイオ企業で、がんの早期診断に向けた革新的な技術を開発しています。最近、同社は慶應義塾大学医学部 泌尿器科学教室と協力し、前立腺がんに関する新たな診断法を開発しました。この成果はECA2024(欧州アンドロロジー学会)で発表され、注目を集めています。

この新しい手法は、「尿中エクソソームを用いた前立腺がんの新規診断法」として紹介され、尿中に存在するエクソソーム由来のマイクロRNAを利用したものです。エクソソームとは、細胞が分泌する小さな袋状の粒子で、体内の情報を運ぶ重要な役割を果たしています。近年、リキッドバイオプシーの需要が増している中、非侵襲的な尿検査の重要性が高まっています。

研究の詳細



この研究では、前立腺がん患者153名と健常者149名から尿サンプルを集め、スモールRNAシーケンスを用いて、エクソソーム中のマイクロRNAを解析しました。その後、機械学習モデルを構築し、前立腺がんの検出に利用しました。分析によって、46種類の候補マイクロRNAの検出モデル性能が評価された結果、AUC(曲線下面積)が0.94、感度が97%、特異度が91%という高精度を達成しました。これにより、尿検査が血液検査に比べ身体への負担が少ないだけでなく、遠隔医療への応用も期待されています。

用語解説


  • - エクソソーム: 細胞から分泌される小さな粒子で、物質を運ぶ役割を持ちます。
  • - マイクロRNA: 遺伝子の調節に関与し、病気の早期発見に利用される小さな分子。
  • - スモールRNAシーケンス: 小さなRNAを解析する手法です。
  • - 機械学習: AIを利用し、データからパターンを学習する技術。
  • - AUC: 診断精度を示す指標で、1に近いほど良好です。
  • - 感度: がんが見つかる割合。
  • - 特異度: 誤りの少ない診断割合。

今後の展望



Craifはこの研究成果を基に、今後もがんの予防や早期発見に向けた取り組みを強化していく考えです。代表の小野瀬氏は「人々が天寿を全うする社会の実現を目指す」と語っており、この新しい技術がその実現に寄与することが期待されます。

【会社紹介】
Craifについては、2018年に設立された名古屋大学発のベンチャー企業で、尿などからマイクロRNAを用いた疾患の早期発見のための技術開発を進めています。公式ウェブサイトで詳細を確認できます。 Craif公式サイト

また、ECA2024は2024年9月4日から6日まで、スウェーデンのストックホルムで開催される予定です。公式サイトでの参加情報やプログラムについての詳細は、ECA2024公式サイトをご覧ください。


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会社情報

会社名
Craif株式会社
住所
東京都文京区湯島2丁目25番7号本郷ITPオフィス5階
電話番号

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